鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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0857-31-5441

  • 受付時間/午前9時〜11時、午後1時〜3時
  • 診療開始/午前9時30分〜

知っておきたい危険信号

痒がる、毛が抜ける(掻痒・脱毛)

 犬や猫にとって、皮膚症状はご家族の方が最も気づきやすいとともに、最も気になる症状の一つと思われます。実際に、一般の病院では皮膚疾患で来院される方が最も多いと言われています。その皮膚疾患の症状で最も多いのが、痒がる(掻痒)、または毛が抜ける(脱毛)といった徴候です。

 掻痒の要因には、大きくはアレルギーが関与するものとしないものがあります。アレルギーが関与するものには、アトピー、食物アレルギー、ノミアレルギーなどがあり、多くは個体の素因が関与しています。また、アレルギーが関与しないものとして代表的なものは感染症であり、原因は寄生虫、真菌、細菌など多岐に渡ります。その他、頻度としては多くはありませんが、免疫介在性疾患、腫瘍、ストレスなどが掻痒の原因となることがあります。

 また、脱毛の要因は掻痒の要因と多くは重複するため、掻痒と脱毛はかなりの割合で同時に認められます。脱毛は、さらにホルモンの分泌異常が原因になっている場合があり、この場合多くは左右両側性にみられ、一般に掻痒を伴わないのが特徴です。

 皮膚疾患は、複数の原因が同時に関わっている場合も少なくなく、難治性の経緯をたどる症例も少なくはありません。また、治療法を誤るとかえって悪化させてしまう可能性もあり、それ故に適切な診断が必要となります。少しでも気になる皮膚の症状がみられるようでしたら、ご受診ください。