鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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  • 診療開始/午前9時30分〜

知っておきたい危険信号

吐く、吐き気を催す(嘔吐)

 犬や猫にとって、吐いたり、吐き気を催したりすることは決して珍しいことではなく、病的な症状としてはむしろ一般的といっても過言ではありません。それだけにその原因の鑑別には注意する必要があります。一般に、口から何か物が出てきてしまった場合には嘔吐と思われがちですが、必ずしもそうとは言えません。嘔吐は、主として胃(もしくは小腸)の内容を吐き出す行為ですが、それとは別に口腔や食道の局所刺激によって起こる吐出や咳に伴う喀痰や喀血などがあり、まずはこれらの鑑別が必要です。

 嘔吐と判断された場合においても、その要因が消化管にあるのか、消化管以外にあるのかの鑑別が重要となります。消化管に要因がある場合には、異物摂取、消化管における炎症、腫瘍などの機能的・機械的異常、感染症などが挙げられます。一方、消化管以外の要因としては、膵炎、肝胆道系疾患、中毒、代謝性疾患、泌尿器疾患などが挙げられます。これらの鑑別にあたっては、一般検査の他、内視鏡検査や超音波検査といった画像診断が推奨されます。

 また、嘔吐の原因の究明に当たっては、嘔吐の発症に至るまでの経過、頻度、時期、食餌との関連性などが非常に有力な手がかりとなりますので、ご自宅での注意深い観察をお願いします