鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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  • 診療開始/午前9時30分〜

知っておきたい危険信号

お腹が膨れている(腹囲膨満)

 お腹が膨れているといった様子は、「腹囲膨満」と呼ばれます。これは見た目に関する異常ですので、ご家庭でもすぐに気づきやすい症状の一つと言えます。しかし、その要因はやはり多岐にわたっており、見た目のみでは決して判断はできないため、注意が必要です。

 一般に、腹囲膨満の要因としては、腹部の臓器が腫大している場合とその他の場合に分けられます。腫大する臓器として代表的なものが消化管であり、腸管中にガスや食渣が重度に貯留していることが要因として挙げられます。この多くの場合、腸管の機能または構造上の障害を伴っており、胃であれば拡張や捻転、腸であれば閉塞などを起こしている可能性があります。その他、腸管と腫大の原因は異なりますが、肝臓(脂肪肝など)、脾臓(うっ血など)、膀胱(尿の貯留など)、子宮(妊娠・蓄膿など)なども腫大することがあります。また、臓器の内外を問わず、腫瘍が発生している場合には、やはり腹囲膨満を示すことがあります。また、臓器の腫大を伴わない場合の代表例には、腹腔に液体が貯留する「腹水」が挙げられます。その他、過量の食餌摂取やホルモンの分泌異常などにより引き起こされる肥満などがあります。

 腹囲膨満の原因を鑑別する上で、経過が急性なのか慢性なのか、腹痛を伴っているか、他の異常症状がないか、などの情報は非常に重要な手がかりとなります。腹囲膨満を主訴に受診される場合には、これらについてお尋ねしますので、ぜひご家庭での観察をお願いします。