鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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  • 診療開始/午前9時30分〜

知っておきたい危険信号

水をよく飲む・おしっこが多い(多飲・多尿)

 水をよく飲むことを「多飲」、おしっこが多いことを「多尿」と呼びます。これらは、同時に認められることが多いため、よく「多飲多尿」とまとめて表現されます。その理由として、何らかの要因で多尿の状態に陥った場合、通常よりも過剰に水分が失われてしまいますので、それを補うために水分を多量に摂取しようと多飲が引き起こされるためです。

 多飲多尿の代表的な要因はホルモンの分泌異常です。中でも発生頻度が高いのが、膵臓、副腎、甲状腺といった内分泌器官におけるホルモンの分泌が不足または過剰となる場合です。膵臓からのインスリン分泌が不足した場合には「糖尿病」が引き起こされ、多飲多尿を生じます。また、副腎からのホルモン分泌は不足であっても過剰であっても多飲多尿が引き起こされます。甲状腺ホルモンの過剰分泌は、猫でしばしばみられますが、やはり多飲多尿を示します。また、ホルモンの分泌異常以外の要因としては、腎疾患、肝疾患、子宮疾患(蓄膿)、電解質異常、薬物性のものなどがあります。多飲多尿はそれ自体が問題になるよりは原因疾患の管理が重要となります。

 多くの個体ではたとえ健康であっても、気温や体重の変化などに伴い飲水量は変化しますので、多飲多尿は比較的分かりにくい兆候と言えるかもしれません。季節ごとに飲水量を小まめに記録するなどの管理が推奨されます。