鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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知っておきたい危険信号

尿の色がおかしい・尿が濁る(尿異常)

 健常時の尿は、淡黄色で、かつ、濁りはほとんど認められません。尿の異常は、色が変化していたり、濁っていたりということで発見されることが多いです。

 尿の色は、水分摂取状態や薬物投与の影響を受けやすく、一過性に変化することは珍しくありません。しかし、通常と異なる色が持続して認められる場合には、明らかに異常とみなされます。特に、頻繁に見られかつ注意が必要なのは尿が赤色を呈する赤色尿です。赤色尿の要因には、いくつか挙げられますが犬や猫で特に多いのが、尿中に赤血球が混入する「血尿」と赤血球の色素が混入する「血色素(ヘモグロビン)尿」です。血尿は、泌尿器における出血を意味しており、原因は、創傷、結石、感染・炎症、腫瘍など多岐に渡ります。また、血色素(ヘモグロビン)尿は、血管内で何らかの要因により赤血球が破壊された(溶血)後に赤血球内の血色素(ヘモグロビン)が析出し、それが尿中に流出した場合に見られます。原因としては、溶血を起こす様々な疾患が挙げられ、犬猫の場合には、中毒や免疫反応、赤血球に対する感染(寄生虫・細菌)が多いです。従って、血色素尿は血尿とは異なり、多くは泌尿器自体には何ら異常はないため注意が必要です。

 また、尿が濁る場合には、混濁尿と呼ばれ、水分摂取量が少ない時を除けば、尿中に細胞、異物、微生物が混入していることが疑われます。混濁尿の要因として特に多いのが膀胱炎であり、特に犬の場合には高率に細菌感染が関与しています。そのため、尿中に多量の白血球とともに細菌が検出されることも少なくありません。また、その他、上記の血尿と同様の要因によっても混濁尿は認められ、血尿と混濁尿はしばしば同時に認められます。

 尿の異常を認める場合には、まずはその要因が泌尿器によるものか否かの鑑別が必要となります。泌尿器に問題がある場合には、尿の異常のみならず排尿時に痛みを感じる、尿の回数が多いなど、排尿の様子が通常と異なる可能性があります。従って、尿の異常を確認した場合には、必ず排尿時の様子をご確認ください。