身体がよろめく、ふらつく、歩き方がおかしい(運動失調)
正常な動物では、常に平衡感覚や運動感覚が働き、また、適切な神経の支配を受け、自らの姿勢や歩行を正しく保つことができます。しかし、これらの感覚や神経支配に何らかの障害が生じた場合には、自らの姿勢を保つことができなくなったり、歩き方に異変がみられたりするようになります。これらの症状に加えて、さらに、起立時に開脚した姿勢を示したり、一方向に回転する運動(旋回運動)がみられたり、時には、頭の傾斜(斜頸)、眼の振るえ(眼振)などが認められることもあり、その症状の出方は多岐にわたると言えます。いずれにしても、上記の症状がみられるときには、多くは神経組織に異常があると言えます。
一般に、姿勢の異常や旋回運動は小脳や前庭(内耳にある感覚器官)などに、歩行障害は小脳や脊髄などに、それぞれ何らかの障害や病変があることが疑われます。障害や病変の原因としては、ウイルスや細菌などの感染症、中毒、栄養障害、外傷、腫瘍などが挙げられます。病変部位の鑑別や病変の精査には、神経学的検査、脳脊髄検査、MRI検査などを実施することが推奨されます。
神経組織の障害や病変は、速やかに原因を究明し適切な処置を施した場合においても、完治しなかったり後遺症が残ったりすることがあり、非常に管理が難しい疾患の一つと言えます。