外耳炎
犬や猫の外耳は、人と異なり、耳道が長くかつ湾曲しているため、乾燥しにくく、また、耳垢がたまりやすい特徴があります。そのため、犬や猫は、生まれつき外耳における炎症、すなわち外耳炎が起きやすいといっても過言ではなく、実際に外耳炎は頻繁に認められる疾患の一つとなっています。
要因は多岐に渡りますが、多いのは細菌や真菌が耳垢で繁殖する場合、寄生虫(特にダニ)が感染する場合、アトピー性皮膚炎などの全身性皮膚疾患に併発する場合などが考えられます。
症状としては、外耳道が炎症に伴い赤く腫脹し、耳垢がたまるといった状態が観察され、それに伴い外耳のベトベト感や悪臭などが認められます。さらに、痒みや痛みを伴うことが多く、しきりに後肢で耳をかくといった行動が目立つようになります。
治療は、刺激の少ない洗浄液による十分な洗浄により耳垢を除去することが何よりも優先されます。その後、原因に対して必要な点耳薬や経口薬を投与します。感染性であれば寄生体に対する薬(抗菌剤、抗真菌剤、駆虫剤など)を、全身性皮膚疾患が要因の場合はそれに対する薬(ステロイド剤など)をそれぞれ投与することとなります。
外耳炎は重症化すると、中耳炎、内耳炎などを併発し、それにより神経症状が引き起こされる場合もあります。外耳炎だからといって軽視することなく早期に受診しましょう。