炎症性腸疾患・蛋白漏出性腸症
炎症性腸疾患(IBD)は、腸の粘膜に炎症細胞が著明に浸潤することを特徴とする原因不明の慢性腸障害です。一般的に、慢性的な嘔吐、下痢、それに伴う体重減少がみられます。その他の症状としては、食欲不振、沈うつ、鼓腸、腹痛などがあります。
診断は、慢性持続性の臨床症状と、他の腸炎を引き起こす疾患を除外するための検査(便検査、血液検査やレントゲン検査など)によって行いますが、ほとんどの場合、内視鏡検査による腸組織の生検が必要となります。
IBDは未だその病態が明らかにされておらず、治療では、食事療法(低アレルギー性で消化の良い食事)と薬物療法(副腎皮質ホルモン剤)が行われますが、根本的治療ではなく症状緩和が目的となります。また、長期間もしくは生涯にわたって治療を行わなければならないことがほとんどです。
蛋白漏出性腸症とは、血漿蛋白質が腸粘膜から腸管腔へ異常に漏出する病気で、蛋白質の漏出が重度な場合、低蛋白血症を起こして浮腫や腹水・胸水などの症状がみられます。主な原因は、腸リンパ管拡張症(何らかの原因でリンパ管の通過障害が起こり、腸のリンパ管が拡張、破壊し、リンパ液が多量に腸管腔へ漏出する病気)、重度のIBD、腸管型リンパ腫などです。
治療は、原因となる病気の治療と蛋白漏出を軽減させる食事療法などが行われます。