鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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  • 診療開始/午前9時30分〜

よくある病気

消化管内異物

口から誤飲して消化管内に入った外来性の異物を消化管内異物といいます。異物として,石やおもちゃ,焼き鳥の串,トウモロコシの芯など,日常接することの 多いものがそのほとんどを占めます。特に注意すべき異物はヒモ状のもので,消化管内に存在すると粘膜をひどく傷つけ,消化管穿孔(穴があく)を起こすこと もあります。

 消化管は食道,胃,小腸,大腸に大別されます。消化管内異物はどの部位にも起き得ます。症状は嘔吐,排便量減少,排便停止,腹痛などが主ですが,どの部位に異物があるかにより症状や治療法が異なります。

 食道内異物は最も注意すべき病気であり,この状態が長引きますと食道粘膜が壊死し,最悪の場合,粘膜が裂けることになります。この病気では食べるとすぐに吐く症状がみられますので,疑われる場合には,すぐに動物病院を受診して下さい。胃,小腸,大腸の異物は最も一般的にみられる病気です。消化管内異物に対する処置は,①そのまま様子をみる,②催吐(強制的に嘔吐を誘発する処置),③内視鏡で 観察しながら異物を除去,④開腹・消化管切開手術により異物を除去,の4つが挙げられます。動物病院では,消化管造影X線検査や超音波検査,内視鏡検査などを用いて診断を行った上で,その後の処置を決定することになります。

 最後に,食物でないものを食べたがる癖を「異食」といいます。このような癖を持っている動物の飼い主は,常に行動に注意を払い,必要に応じて異食予防用の口輪をするなど対策が必要です。