鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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0857-31-5441

  • 受付時間/午前9時〜11時、午後1時〜3時
  • 診療開始/午前9時30分〜

先端医療による治療例

レーザーを用いた経毛様体凝固術

 緑内障は視神経の神経変性を伴う失明につながる病気です。 人においては眼内圧の上昇が緑内障を進行させる主な危険因子のひとつであると考えられています。いっぽう、獣医領域では緑内障はいつも眼内圧の上昇を伴いますので、眼内圧を低くする治療が行なわれます。治療は基本的に、目薬や飲み薬を用いた内科治療ですが、効果がみられないことも多々あります。毛様体凝固術は、眼内圧上昇の主な原因である眼房内の水(眼房水)が溜まり過ぎるのを抑えるために、眼房水を産生している毛様体の細胞をレーザー熱によって破壊する方法です。

 

症例:犬、柴、10歳、雌、12.6kg

 右眼の眼圧上昇(34mmHg)がみられたため、内科療法を実施しました。一時的に眼圧は下降しましたが、漸次眼圧は上昇していきました。眼圧コントロールのために軽い全身麻酔下で半導体レーザーを用いた経毛様体凝固術を実施した(図1,2)。治療時間は5分程度でした。術前の眼圧は42mmHgでしたが、1週間後には34mmHgまで下降し、その後内科療法で現状維持しています。

 

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図1.レーザー照射風景

 

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図2.経毛様体凝固術模式図