皮膚腫瘍
腫瘍は生物学的かつ臨床的な見地から、良性腫瘍と悪性腫瘍とに分けられます。良性腫瘍は 一般的に発育速度も遅く、その影響は発生した場所に限られることが多く、生命を脅かす危険性はわずかです。それに対し悪性腫瘍は、発育速度が速く、他臓器 への転移など全身的な影響もきわめて大きく、死に直結することもあります。全身的な症状や画像診断に併せて、細胞診などの病理学的検査によって腫瘍の種 類、タイプ(良性・悪性)を診断します。どのような腫瘍であるかによって内科的療法、外科的療法を決定し、場合によっては放射線療法や免疫療法なども組み 合わせて、治療を行います。
良性腫瘍は、通常成長が遅いです。時には、時間が経ってもなにも変化しません。一般的に言えば、良性皮膚腫瘍の形状が明確で皮膚の下に自由に移動できます。通常、動物は痛みを感じません。 一方、悪性腫瘍は通常非常に速く成長し、形状が明確でないため、容易に出血したり、潰瘍になったりします。 皮膚癌の種類によっては若い動物にも発生しますが、ほとんどの場合、中年や高齢動物に発生します。
皮膚の腫瘍は、腫瘍の中でも飼い主さんが比較的早期に発見しやすいものです。日頃からブラッシングやシャンプー等により動物の体に触る習慣をつけ、しこりや皮膚病変を見つけた場合には早めに獣医師に相談しましょう。