鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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0857-31-5441

  • 受付時間/午前9時〜11時、午後1時〜3時
  • 診療開始/午前9時30分〜

先端医療による治療例

光線力学療法

光線力学療法(フォトダイナミックセラピー:PDT)は、腫瘍に集まりやすい性質をもつ光感受性物質を投与して、一定時間後に赤色のレーザー光を腫瘍に照射します。腫瘍に集まった光感受性物質が、レーザー光と反応すると活性酸素等が発生して、腫瘍を死滅させます。PDTに用いる光感受性物質あるいはレーザー光それぞれ単独では、毒性はほとんどありません。そのため、PDTは、従来から実施されている抗がん剤治療や放射線治療と比較して、正常組織への影響が少ないため、生体への負担が少ない治療法です。また、PDTは人医療においてはすでに早期肺がんや加齢性横斑変性症に対して臨床応用が行われている治療法です。現在、本施設では犬の鼻腔内腫瘍などに対して治療を行い、腫瘍の縮小効果が確認されています。

 PDTは、局所治療ですので、全身転移したがんは適応外です。また、光感受性物質が腫瘍組織内に十分蓄積しない場合には、治療効果が不十分な場合があります。

 

症例:犬、ミニチュアシュナウザー、オス、6歳

鼻鏡部右外側の皮膚に徐々に増大する腫瘤が認められた(図1)。病理検査により、組織球腫と診断された。良性ではあるが、外科的に摘出した場合、皮膚欠損により外貌の変化が予想されたため、光増感剤の前駆物質である5−アミノレブリン酸を用いたPDTを実施した(図2)。5回PDTを実施後、腫瘤は消失し、腫瘤のあった部位に発毛が認められた(図3)。

  

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図1. 初診時外観写真

 

 

 

 

 

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図2. 治療風景

 

 

 

 

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図3. 5回目の治療後の外観写真