免疫介在性血液疾患
免疫介在性血液疾患は、免疫学的機序により溶血性貧血、血小板減少症、好中球減少症、再生不良性貧血、赤芽球癆などが生じる疾患です。犬・猫においては免疫介在性溶血性貧血が最も一般的で、本疾患では赤血球表面の自己抗原や薬物・微生物抗原に対する抗体が反応することにより赤血球の破壊が生じます。猫では猫白血病ウイルス感染に伴う続発性のものが存在することが知られています。免疫介在性溶血性貧血の症状としては可視粘膜の蒼白、運動不耐性、呼吸促速、黄疸などが起こります。血液検査所見としては、網状赤血球の増加などの再生性貧血の所見や好中球増多症、高ビリルビン血症が認められます。診断には赤血球膜上に存在する免疫グロブリンや補体を検出する直接クームス試験が有用です。治療としては、グルココルチコイドやアザチオプリン・シクロスポリンといった免疫抑制剤が用いられます。