
所属スタッフ
繁殖科
本診療科では、主に牛を効率よく生産するための診療活動を往診で実施しています。近年の畜産現場では、牧場の大規模化に伴って、一頭一頭の牛の病気に対する対応はもちろんですが、それ以上に牛群全体の生産性を良くする考え方が重要になってきています。具体的には、牛群全体として、病気などの事故に陥る割合を低くする、テンポよく繁殖させて子牛を産ませる、といったことです。本科ではとくに、後者の牛の繁殖を業務として、繁殖検診(妊娠診断や妊娠に向けた準備のための検査)や胚移植(授精7日目の胚を子宮に移して妊娠させる手法)をするため鳥取市内の牧場に往診に出ています。
繁殖検診
乳用牛および肉用牛の牧場において、定期的に携帯型の小型エコー(超音波診断装置)を用いて卵巣や子宮といった生殖器の状態を観察し、次の妊娠に向けた準備ができているかを確認します。必要に応じてホルモン処置を実施し、複数の牛に同時に人工授精や胚移植ができるように調節します(発情周期の同期化)。そうすることで、業務を効率化することができます。
妊娠診断
上記の繁殖検診と同様に携帯型のエコーを用いて授精後約1ヶ月の牛が妊娠しているかどうかを調べます。繁殖検診と同じ準備でできるため、多くの場合繁殖検診と一緒に実施し、繁殖検診に含まれることも多いです。
胚移植
牛はほとんどが人工授精によって生産されていますが、近年、授精7日目の胚を子宮に移して妊娠させる胚移植が普及してきています。良質な雄牛の子どもは凍結精液を人工授精することで増やすことができますが、良質な雌牛の子どもは人工授精では多く生産できません。胚移植ではいわゆる代理母出産をさせるため、良質な雌牛の子どもをより多く生産できます。本科では、発情周期を同期化させた乳用牛において、黒毛和種牛(和牛)の胚を移植する取り組みを通して、地域の生産活動を支援しています。
犬の人工授精
上記のような牛の往診に加え、本科では自然繁殖の難しい犬の人工授精による繁殖にも取り組んでいます。定期的なホルモン(プロジェステロン)検査を用いて授精適期を判定し、人工授精を実施しています。