鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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知っておきたい危険信号

咳・くしゃみが出る、呼吸が荒い・苦しそう(発咳・呼吸困難)

 咳やくしゃみは、本来、気道内の異物や分泌物などを排出するために生じる一種の防御反応です。従って、それ自体がただちに問題となるわけではありません。また、呼吸状態についても同様で、激しい運動後、興奮時、気温が高いときなどに一過性に呼吸が早くなったり荒くなったりすることは、健康時にも見られるものであり生理的な反応です。しかし、咳やくしゃみの頻度が明らかに増加している場合や、安静時にも関わらず呼吸が早いまたは荒い状態が続く場合、さらに呼吸が苦しそうな場合、これらは病的であり異常な兆候であるとみなされます。これらの兆候は同時に見られることが多く、一般に呼吸器症状と呼ばれます。

 呼吸器症状は、その名の通り、呼吸器に何らかの異常や病変が生じている場合に見られることが多いです。呼吸器には、鼻、喉頭、気管、肺などが含まれ、いずれの部位に異常や病変が発生しても、その程度や兆候は異なりますが呼吸器症状を発現します。主要な要因として、各種病原体による感染症やアレルギーに伴う炎症、腫瘍などが挙げられます。その他、一部の犬種に好発するものとして、気管の一部が扁平化する病気(気管虚脱)や鼻腔と口腔の境目にある軟口蓋が長すぎる病気(軟口蓋過長)が要因となる場合があります。

 さらに、呼吸器症状は、呼吸器以外の部位や臓器の異常が主因となって発現することがあります。代表的なものが心疾患(特に弁膜症)であり、特に高齢犬で呼吸器症状が発現している場合高率に弁膜症が関与していると言われています。また、胸部の臓器以外の部位に何らかの異物が溜まってしまう場合も呼吸器症状を呈し、特に多いのが、液体が貯留する「胸水症」や気体が貯留する「気胸」と呼ばれる疾患です。また、注意しなければならないのが、咳やくしゃみが見られないにも関わらず呼吸が苦しそうといった場合であり、この場合、上記の要因の他に腹部臓器における炎症や痛みまたは全身性疾患が原因となっている場合があります。

  ヒトでは、呼吸器症状は、風邪と一括りにされ軽視されがちですが、動物の場合はその要因は非常に多岐にわたっており時には命に関わるケースもあります。呼吸が苦しそうといった場合には言うまでもありませんが、咳やくしゃみといった症状であっても持続的にみられる場合には、速やかに受診することが推奨されます。