鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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0857-31-5441

  • 受付時間/午前9時〜11時、午後1時〜3時
  • 診療開始/午前9時30分〜

知っておきたい危険信号

腹部を痛がる(腹痛)

 人と同じように、犬や猫も腹痛を示す場合があります。ただし、人の場合には自ら言葉で訴えることができますが、犬や猫の場合にはその様子でご家族が気づかなければなりません。そのため、軽度の腹痛では症状も不明瞭であり気づくことが難しいですが、重度の場合お腹に触れたり刺激を加えるたびに悲痛な叫びをあげたり嫌がって暴れたりします。また、個体によっては前肢をのばして胸を床につける姿勢(通称、祈りの姿勢)をとる場合や、背中を丸める姿勢(背弯姿勢)をとる場合があります。しかし、猫では犬に比べてこれらの症状を示すことは少ないです。なお、腹痛はそれのみが症状でみられることは少なく、一般に嘔吐など他の症状を伴っています。

 腹痛の原因としては、消化管の異常によるものとその他の腹部臓器の異常によるものの両方を考慮する必要があります。消化管の異常には、消化管の炎症、麻痺、痙攣、ねじれ(捻転)、閉塞(異物など)などが挙げられます。また、消化管以外の臓器の異常には、肝蔵や胆道系臓器(肝炎や胆嚢の破裂など)、膵臓(膵炎など)、脾臓(脾臓の捻転や破裂など)、泌尿生殖器(尿路の閉塞や膀胱や子宮の破裂など)、腹膜(腹膜の炎症など)の異常や腫瘍などが挙げられます。このように要因は非常に多岐にわたるため、原因となる疾患に応じて、手術などの外科的処置もしくは内科的処置またはその両方を実施することが推奨されます。

 いずれの要因においても、症状が急性かつ重篤である場合、早急に適切な処置を施さなければ死に至る場合もありますので、ご家族の方は上記のような異変を感じることがありましたら速やかにご相談ください。