鳥取大学 農学部附属 動物医療センター

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TEL 0857-31-5441 受付時間/平日9:00〜17:00

先端医療による治療例

光線温熱化学療法(PHCT)

 がんに対する3大治療(外科手術、化学療法、放射線療法)以外にも、免疫療法、遺伝子療法を筆頭とした数々の方法が提案されてきています。

 インドシアニングリーン(ICG)は1950年代から医学領域で肝胆道系検査薬として使用されてきた薬剤で、その安全性は十分に認識されています。本剤は以前より、800nmの光を吸収して発熱する(温熱効果:HT)性質が知られていました。最近、600-800nmの光に反応して活性酸素を誘導する(光線力学的効果:PDT)ことも明らかとなりました。数年前に我々は、このICGの性状に注目し、HTとPDTを同時に実行する新しい手法を開発しました。この療法を光線温熱療法(PHT)と命名しました。さらに局所化学療法を組み合わせた光線温熱化学療法(PHCT)を考案しました。

 

症例:犬、G.レトリバー、雄、30kg。

 左大腿部に発生した子児頭大の横紋筋肉腫です。近隣の動物病院で外科切除を受けましたが、初回の切除手術後1週間で再発が確認されました。その後半年間で11回の切除手術を繰り返した極めて悪性の腫瘍でした。本症例に対してPHCTを約1週間間隔で実施し、自家がんワクチン療法を併用した結果、患部の上皮化がみられ、順調な治癒経過をたどりました(図1)。

 

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図1.症例の経過